マーベル/『G.I.ジョー:ARAH!』 第26号 「スネーク-アイズ:ジ・オリジン」
マーベル・コミックス"G.I.Joe: A Real American Hero ! " #26 Snake-Eyes: The Origin(1984年8月)です。
──フロリダの湿地帯の隠れ家で、ザルタンたちはG.I.ジョーのマットの愛犬ジャンクヤードを見つける。
その頃、スネーク-アイズはスパニッシュ・ハーレムにいるある人物のもとを訪れていた。
ピットのホークたちは、スネーク-アイズとストーム・シャドウの腕にある同じタトゥーのことを調べていた。
ストーカーとホークは、スネーク-アイズとの出会いについてを語り始める──。
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↑ 第21号~第30号ダイジェストへ
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この号と続く第27号とで、スネーク-アイズの過去が初めて本格的に描写されます。
この号までの時点では、第10号で彼がブレインウェーブ・スキャナーにかけられたときに、顔の傷はヘリの事故によるものであったこと、その家族が交通事故で死亡しているらしいこと、そして日本で忍者の修行をしていたらしいことが断片的にわかっており、第21号では白い忍者ストーム・シャドウと同じタトゥーをしていることが判明していました。
この号では、ストーカーやホーク、そして初登場となるソフト・マスターたちの回想という形でスネーク-アイズの過去が次々と語られ、彼を語る上で欠かせないエピソードとなっています。
画像はいずれもネット上で拾ったものです。いつもの如く joefig は実際に読んでいないので、記載した内容には多少の誤りもあると思われますのでご了承ください。
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登場人物
G.I.ジョー・チーム
スネーク-アイズ ホーク ストーカー スカーレット マット&ジャンクヤード トルピード
トリップワイヤー ワイルド・ビル
コブラ
デストロ ザルタン バロネス コブラ・コマンダー ファイアーフライ ワイルド・ウィーゼル
アラシカゲ一族
トミー・アラシカゲ(ストーム・シャドウ) ソフト・マスター ハード・マスター(故人)
その他の忍者 (回想)
※ハード・マスター、ソフト・マスターほかアラシカゲ一族が本格的に初登場。
市民
強盗の少年
スネーク-アイズの両親(故人)
スネーク-アイズの双子の妹 (故人。 第106号で名前がテリーであることが判明。 正確にはテレサ)
※スネーク-アイズの家族が初登場。交通事故の新聞記事は第10号でも登場しています。
その他
ベトコン兵士 (回想) 救出ヘリのクルーたち (回想) ベトナム帰還兵たちとその家族 (回想)
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登場ビークル&装備
アメリカ軍
ベル UH-1B イロコイ(ヒューイ)(回想)
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地名
コミダス・チナス
※ニューヨークのスパニッシュ・ハーレムにある、ソフト・マスターが経営する中華料理店。店名はスペイン語で 「中華料理店」 といった意。
アラシカゲ一族の家 (正式名称不明)
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詳細
フロリダのエバーグレーズの湿地帯にあるザルタンの隠れ家。ザルタンは不審な犬を撃とうとするが、それがG.I.ジョーの犬(ジャンクヤード)であると勘付いたデストロは、利用価値があると言ってザルタンを制止する。
マット、トルピード、トリップワイヤーは離れたところからその様子を見ていた。
マットはジャンクヤードが自分たちのところへ向かってきてしまうと嘆くが、トルピードは、ジャンクヤードが何か別のことをしようとしているように思えた。
ニューヨークのスパニッシュ・ハーレム。一人の少年が小さな中華料理店に押し入り、カウンターにいた年配のオーナーに向かって銃を突きつける。
ところが店のオーナーは、馴れた手つきであっという間に銃のスライドをロックしてしまう。
※左端に写っている、新聞を手にした怪しい人物はスネーク-アイズです。
銃の代金として50ドルだけ渡され、少年は慌てて走り去る。
カウンターの下の引き出しには、こうして強盗から奪い続けてきた銃がぎっしり詰まっていた。
ピットでは、スカーレットとホークが、スネーク-アイズとストーム・シャドウの双方にあるタトゥーについて調べているが、それが易経の符号であるということ以外、何もわからない。
そこへストーカーがやって来て、以前にそのタトゥーを見たことがあると言い、そのときのことを語り始める。
10年前のベトナム戦争当時、彼は LRRP (ラープ、長距離偵察部隊) のひとつの部隊を率いていた。
6人の部隊はベトコンの正規軍と交戦し、生き残ったのは3人だけだった。
※死んだ3人については、第43号 「クロスロード」 の回想シーンで氏名が明らかとなります。
ストーカー 「…そしておれたちは、身を潜めながら、低地を抜けて行くことにしたんだ。おれはサプレッサー付きの M16 (マイク・ワン・シックス) を手に先頭に立った…」
「…真ん中はトミーだ。フレズノ郊外出身の日系アメリカ人で、みんなは彼の姓をうまく発音できなかったのでただトミーとだけ呼んでいた…」
「…スネーク-アイズは M60 を手にしんがりを買って出た。彼はこの頃から謎めいていたよ…」
スネーク-アイズは前方に単独のベトコン兵士を発見し、ストーカーがそれを撃とうとするがトミーに止められる。
トミーは、サプレッサーは発射音を軽減するが、弾が跳んでいくときに生じる衝撃波は消せないと言って弓を取り出す。
ストーカー 「彼は肌身離さず持っていた弓を引き絞り、鉄の鏃の矢を射た…」
救出されるまでの間、谷底を這うように移動するストーカーたち。同じ部隊として行動を共にするようになってからは6ヶ月経っていたが、その間にトミーはスネーク-アイズと親しくなっていた。
トミーはスネーク-アイズに、戦争が終わったら日本にいる叔父の仕事に加わらないか、と誘っていた。
ストーカー 「…スネーク-アイズは彼の話をろくに聞いちゃいなかったよ。彼はいつも双子の妹が写った、擦り切れた写真ばかり眺めていたんだ」
「それは彼のお守りだったんだ。彼はその写真さえ無事である限り、自分の身には何も起こらないと本気で信じていたのさ」
※実はスネーク-アイズはかなりのシスコンで、スカーレットもDDP版で愛弟子となっていたオフィーリア・ゲイブリエルも、双子の妹のテレサの面影があるという設定なのでした。
ところでこのテレサですが、双子のはずなのに、兄よりもずっと幼く見えますね。
ようやく救出ヘリと合流できた3人。
ストーカー 「おれは通信機と暗号解読書を持って最初に乗り込んだ。スネーク-アイズは樹林線で援護につき、全ては順調に運んだ…」
※救出ヘリのドアには、騎兵師団のインシグニアである交差したサーベルとD.F.A.の文字があります。なお、映画 『地獄の黙示録』 (1979年) に登場したビル・キルゴア中佐 (演:ロバート・デュヴァル) のUH-1 (第1騎兵師団の第9騎兵連隊第1大隊所属) のノーズには "Death From Above "(「空からの死」)と書いてありました。
「…赤い弾幕が宙を切って走るまでは。スネークアイズはボロ人形のように倒れた…」
※このカットのセリフは正確には読めませんでした。
※妹の写真には銃弾が命中して穴が空いてしまっています。
ストーカー 「ヒューイ (※UH-1) は格好の的だった」
「おれはトミーにスネーク-アイズのことは構うなと言ったんだ…」
ストーカー 「彼はもう死んでいると思ったんだ。だがトミーは、装備を外して、銃弾の飛び交う中を引き返していったんだ」
ストーカー 「そのあと、空に出て安全になったとき、トミーは自分のリストバンドを使ってスネークアイズに包帯を巻いた…おれがあのタトゥーを見たのはそのときだ…」
現在。フォート・レナードウッドの記録課を呼び出していたストーカーは、トミーの姓を直訳すると 「ストーム・シャドウ」 となることを知る。
フロリダ。トーピドー、マット、トリップワイヤーは、ジャンクヤードがコブラ・コマンダー、デストロ、バロネス、ザルタンたちの先頭に立って小屋を後にする姿を見る。
トーピドーたちは、捕らえておいたファイアーフライとワイルド・ウィーゼルのところまで戻る。しかし、2人はすでに逃げ出していた。
スパニッシュ・ハーレムでは、老人はスネーク-アイズに、彼が過去に残していった、私物が入った箱を返していた。その中には、武勲章のメダルや、トミーがジャングルで拾い上げたスネーク-アイズの姉妹の写真もあった。
ピットでは、ホークが自分とスネーク-アイズとの出合いについてを語っていた。
ベトナムで負傷したスネーク-アイズがアメリカに帰って来た。
ホーク 「…彼は帰国してきた。多くの兵士たちが帰国してきた。しかし彼らにはブラスバンドの出迎えもなければパレードもなかった。そうさ、彼らにはコーヒーのひとつすら奢ってくれる者もいなかったんだ…」
ホーク 「…彼らはそんなことは気にしちゃいなかった。彼らは家に帰ってこられて、愛する家族と抱き合えることを素直に喜んだ」
「彼らは、臭い雨もなければ、望まない限りはもうマメばかり食う必要のない世界に帰ってきたんだ!──(以降は判読できませんでした)──」
ほかの兵士たちが家族と共に帰っていく中、スネーク-アイズだけが一人ロビーに取り残される。
4時間後、そこへ制服姿のホークが、彼にあることを伝えにやって来る。
2時間かけて車でここに来るまでの間、ホークはそれをどう伝えるかを幾度となく考えていた。
ホーク 「だが、おれは一体どう伝えたらいいのかわからなかった。でも彼は知った。おれの制服を目にして、それからおれの表情を見て、そして彼は知ったんだ」
空港に迎えに来る途中のハイウェーで、スネーク-アイズの家族の車は酒に酔った退役軍人が運転していた車にぶつけられて大破し、相手の男も含めて全員死亡していたのだった。
スパニッシュ・ハーレムでは、老人は鏃 (やじり) を見つめながら、過去に起きた出来事のことを考えていた。
日本にいるトミーのもとにスネーク-アイズがやって来た。
トミーの家族は、ハード・マスターと呼ばれる老人を当主として、その弟で財政を担当するソフト・マスター (現在スパニッシュ・ハーレムにいる老人)、そして彼らの甥でヤング・マスターと呼ばれるトミー自身で、彼らは全員忍者であった。
スネーク-アイズはそこで忍者となるための厳しい修行を開始した。
上達した彼は、腕に一族のシンボルであるタトゥーを入れることを許される。
彼は稽古ではしばしばトミーの顔を立てていたものの、ほとんどの技術においてトミーを上回るまでになっていた。ハード・マスターは、トミーではなくスネーク-アイズを自分の後継者として考えるようになる。
それでも弓にかけてはまだトミーのほうが勝っていた。ただ、トミーは技を磨くためにたびたび生き物の命を奪っており、スネーク-アイズはそのやり方には同意せず、彼らの友情は薄らいでいった。
ある晩、ハード・マスターから 「盲目の剣」 と呼ばれる技を教わっていたとき、スネーク-アイズは庭に何者かの気配を感じる。
※暗闇の中で戦うとき、鞘を刀の先に引っ掛け、下げ緒を口にくわえるというのは、実際の忍術では「座探りの術」というそうです。
しかしハード・マスターはいかなる危険もないと信じており、続いて 「カメレオンの外套」 と呼ばれる技の修行に移る。
それは呼吸や心拍数まで変化させて他人の動きになりきるというもので、ハード・マスターはスネーク-アイズの動きを真似てみせる。
そこへ一本の矢が放たれ、ハード・マスターの体を射抜いた。
矢はトミーのものであったが、ハード・マスターはトミーの無実を信じて絶命する。
トミーは行方をくらまし、彼らの家業は幕を閉じた。
フロリダでは、ジャンクヤードの後をついていったコブラの幹部たちが底なし沼に落ちてしまう。
終わり
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トイ
この号と関連のあるトイは以下の通りです。
DTC コミック3パック#26(2006年)(O-リング)
ロンゾ・R・ウィルキンソン トミー・アラシカゲ クラシファイド
今回の記事で紹介した第26号の復刻版が付属。
25th コミック2パック#10(2008年)
スネーク・アイズv38 ハード・マスター
ただしどちらも第26号の姿に忠実ではありません。
新作オリジナル・コミック#10 が付属。
さて、次回は後編にあたる第27号を取りあげたいと思います。それでは!