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The Pit

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ハズブロ社の 「G.I. ジョー」 に関するランダムな記事のブログです。

資料/「アドベンチャー・ピープル」

 今回はフィッシャープライス社の 「アドベンチャー・ピープル」 というトイについて記事にしたいと思います。
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「アドベンチャー・ピープル」


 1973年に起きたオイルショックの影響で石油の値段が跳ね上がり、プラスチック製玩具は小型化の方向に向かうことになりました。
 1974年になると日本では 「ミクロマン」 が、ドイツでは 「プレイモービル」 が誕生しています。

 その翌年の1975年、アメリカで興味深いトイが発売されていました。
 それはフィッシャープライス社の 「アドベンチャー・ピープル」 Adventure People (1975~1984年) です。
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 フィッシャープライスは、世界恐慌のさなかにあった1930年にハーマン・フィッシャー、アーヴィング・プライス、ヘレン・シェリーの3人がニューヨークに設立した会社です。
 1993年にマテルと合併し、現在も幼児と幼稚園児童を対象とした玩具を多数展開しています。

 同社の日本語版 HP の企業沿革のページはこちらにあります (外部リンク)



 アドベンチャー・ピープルは、小型の人形と様々な乗り物やプレイセットから構成される低年齢層向けのシリーズで、人形のサイズはおよそ 3 14 ~ 3 34 インチでした。

 人形を小型とした分、より大きな乗り物なども展開可能となり、ラインナップはかなり豊富だったようです。

 人形の可動箇所は基本的には首 (おそらくボールジョイント)、肩、股関節 (T-クロッチ) で、以前から各社が発売していた人形 (ドール) によくみられる構造をサイズダウンしたものと言っていいでしょう。



 初期はほのぼのとした一般の人々の人形や乗り物、プレイセットでした。

サファリ (1975年)
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 後期になるとよりアドベンチャー路線やSF 的なトイが発売されるようになりました。


フロッグマン (1981年)
 「G.I. ジョー・アドベンチャー・チーム」 を思わせるテイストのイラストです。
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アルファ・プローブ (1981年)
 G.I. ジョーのディファイアントよりずっと前にスペース・シャトルが登場。
 日本のミクロマンのミクロナサ (1978年) のほうが早いですけど。
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ターボ・ホーク (1982年)
 F-14 トムキャットが 3 34 インチ・スケール化されたのもG.I. ジョーのスカイストライカーより先です。
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X-レイ・マン (1982年)
 ミーゴの 「マイクロノーツ」 を意識している気がします。
 ミクロマンになったキングワルダー1世という雰囲気ですね。
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スター・ウォーズ・フィギュアとの関係


 " Star Wars: 1,000 Collectibles " (Abrams 刊、2009年) という書籍に、興味深い写真が掲載されていました。
 フランスのミロ-メカノ社が出した、ケナーのSW フィギュアの先行広告の画像です。
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 SW フィギュアのモックアップが写っているのですが、これはアドベンチャー・ピープルをベースに作られたものなのだそうです。

 上述の本をちゃんと読んでいないので詳しい背景はよくわかりませんが、ミロ-メカノ社というのはケナーの SW フィギュアをフランスで発売していたメーカーです。 当時はケナーもミロ-メカノもアメリカの大手食品メーカーのジェネラル・ミルズ社の傘下だったことによるものでしょう。

 画像のモックアップは、造形こそ素朴であるものの、基本的な構成は実際に発売されたSW フィギュアとよく似ています。
 ミロ-メカノ社が独自に用意したものというよりも、やはりケナー自身による試作品だったのではないかと思われます。



 SW フィギュアを最初にオファーされたのはミーゴ社で、しかも同社はその話を蹴ったというのは有名な話ですが、もしもミーゴが受けていたとしたら、後に同社が発売した 「バック・ロジャース」 や 「ブラック・ホール」 のような構造のSW フィギュアが生まれていたかもしれません (バック・ロジャースやブラック・ホールの3 34 インチ・フィギュアは、「マイクロノーツ」 のノウハウを基にミクロマン式の可動と写実的な造形が両立されたものでした)。

 しかし、ミーゴ社が蹴った後にSW フィギュアの話を受けたケナーは、上述のモックアップの存在から推測すると、マイクロノーツ (ミクロマン式) の複雑な構造ではなくアドベンチャー・ピープルの構造 (T-クロッチ) を選んだということになります。
 結果、SW フィギュアは大ヒットし、その後もT-クロッチ式の3 34 インチ・フィギュアは1980年代を通じて各社から発売されることになりました。 



 3 34 インチ・アクション・フィギュアの元祖はどの商品なのか? と考えた時、サイズ的には日本の 「ミクロマン」 (1974年登場) がやはり最初のケースだったのではないかと思います。
 しかし、アメリカで無数の類似商品を生んだ一定のジャンルとしての観点から言うと、マイクロノーツより1年早く発売された 「アドベンチャー・ピープル」 がおそらく最も古い例にあたるのではないでしょうか。

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 以上、アドベンチャー・ピープルについての記事でした。
 おおらかな造形とはいえ、市井の人々をテーマにしたアクション・フィギュアが幅広いラインナップで発売されていたというのは魅力的です。
 現在で言えば 「トゥルー・ヒーローズ」 などで知られるチャップ・メイ社が比較的これらに近い商品展開をしていますね。

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by joefig | 2016-06-28 00:42 | 資料 | Trackback | Comments(2)
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Commented by NOR at 2016-06-30 20:56 x
すばらしい!
宇宙路線のアドベンチャー・ピープルは以前からちょいと気になっていたんですが、マイクロノーツ後発のパチもんというイメージでした!ノーツやケナー・SWに先駆ける、ルーツテクノロジーだったという事は思いもよらず、衝撃です!

アイテムのラインナップ的にも香ばしいですね。玩具でマンガ作ってると「フツウのガキ」とか「工事現場のおっさん」みたいなフィギュアが役者として欲しくなって来るんですがブロック系以外だと見当たらないんですよ。そういう意味ではこういった玩具は自分的に貴重に思えます。
Commented by joefig at 2016-07-01 23:08
>NORさん
3 3/4インチ(3.75インチ)の可動フィギュアの元祖は何なのか、気になって調べてみたらアドベンチャー・ピープルが浮上してきたのでした。これより古いものがなかったか引き続き調べてみたいとは思っています。

「普通の人々」ってすっごく面白いジャンルですよね! 例えばトンカのブルドーザーやパトカーに25thジョー素体の工事現場のおっさんとか警官が付属していたら最高なんですけどね~。