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The Pit

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ハズブロ社の 「G.I. ジョー」 に関するランダムな記事のブログです。

資料/サージェント・ロック

 今回は、G.I.ジョーに一定の影響を及ぼしていたと思われる、「サージェント・ロック」 について記事にしたいと思います。

 DC コミックで長くシリーズ化された有名な戦争モノのコミックとその主人公です。

DC コミックス 『サージェント・ロック・アーカイブス』 第1巻 “The Sgt Rock Archives Volume 1” (2002年)
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 アーティストは大御所ジョー・キューバート。



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前史


 第二次大戦期に、アメリカの兵隊を指す言葉として 「G.I.」、さらには 「G.I.ジョー」 という言葉が広まったことについては、当ブログの記事 「G.I.ジョーの起源」 で触れてみました。

 デイヴ・ブレガーの漫画 『G.I.ジョー』 の連載は1942年に始まっています。

 そして1945年になると、映画 『G・I・ジョウ』 “The Story of G.I. Joe” が公開されています。

 朝鮮戦争の時期の1950~53年の間には、ジフ-デイヴィス Ziff-Davis 社が 『G.I.ジョー』 というタイトルのコミック (全51号) を出版しています。

 これらの作品は互いに関連はなく、「G.I.ジョー」 はアメリカ兵を指す言葉として用いられています。


 1952年、DCコミックの前身であるナショナル・ペリオディカル出版社からは 『G.I.コンバット』 というコミックが刊行されました。
 冷戦時代の兵士たちの活躍を描くもので、DC 時代以降も1987年まで続いたようです。

 この 『G.I.コンバット』 の中から派生したのが、今回取り上げる 「サージェント・ロック」 です。

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コミック 『サージェント・ロック』 の歴史


 『G.I.コンバット』 第68号 (1959年1月号) に、「ロック」 The Rock というキャラクターが登場しました。
DC コミックス 『G.I.コンバット』 "G.I.Combat"  第68号 (1959年1月号)
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 そのわずか数か月後、同じく DC の 『戦時下の我が軍』 "Our Army at War" 第81号(1959年4月) には 「イージー・カンパニー」 という部隊を率いる 「サージェント・ロック (またはサージェント・ロッキー)」 が登場。 舞台は第二次世界大戦となっていたようです。
 ライターはロバート・“ボブ”・カニガー、アーティストはジョー・キューバートでした。
DC コミックス 『戦時下の我が軍』 "Our Army at War" 第81号(1959年4月)
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 その頃、DC は様々なシリーズからその再録に新作を加えた 『ショーケース』 "Showcase" というコミック・アンソロジーを出していましたが、その第45号 (1963年7・8月) は 「イージー・カンパニーのサージェント・ロック」 でした。
DC コミックス 『ショーケース:イージー・カンパニーのサージェント・ロック』 "Showcase: Easy Co.s Sgt. Rock" 第45号 (1963年7・8月)
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 ちなみにこの 『ショーケース』 では、第53号 (1964年11・12月) と54号 (1965年1・2月) では前述の 『G.I.コンバット』 やその他の戦争モノを再録したアンソロジーを 『GI ジョー』 "GI Joe" のタイトルで特集しています。
DC コミックス 『ショーケース:GI ジョー』 "Showcase: GI Joe" 第53号 (1964年11・12月) ・第54号 (1965年1・2月)
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 今、G.I.ジョーというとマーベル・コミックを思い浮かべてしまいますが、同じタイトルのコミックがかつて DC から刊行されていたというのは興味深いものがあります。

 1977年からは"Our Army at War" のタイトル自体が 『サージェント・ロック』 に変更され、1988年の第422号まで続きました。
DC コミックス 『サージェント・ロック』 "Sgt. Rock" 第302号 (1977年3月)
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 その後も何度か、『サージェント・ロック』 のタイトルのコミックが刊行されているようです。

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G.I.ジョーへの影響


 マーベル・コミックであのニック・フューリーが初登場した、第二次大戦モノの 『サージェント・フューリー&ヒズ・ハウリング・コマンドーズ』 は、そのタイトルからして、たぶんDCの 「イージー・カンパニーのサージェント・ロック」 に対抗して生まれたコミックでしょう。
マーベル・コミックス 『サージェント・フューリー&ヒズ・ハウリング・コマンドーズ』 “Sgt. Fury and his Howling Commandos” 第1号 (1963年5月)
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 「ハウリング・コマンドーズ」 は、最近では映画 『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011年) にも登場していました。
 『サージェント・フューリー』 からは、キャプテン・サヴェッジ&ヒズ・レザーネック・レイダース、コンバット・ケリー&デッドリー・ダズンといったキャラクター&部隊も派生しています。
 3.75インチの 『G.I.ジョー:ARAH』 のベースには、元々はラリー・ハマが温めていた、ニック・フューリーの息子の部隊が活躍する 「フューリー・フォース」 という企画があったということは以前の記事で触れた通りです。


 ハズブロのアクション・フィギュア 「G.I.ジョー」 の発売は1964年ですが、試作段階ではアクション・ソルジャー (陸軍) とアクション・マリーン (海兵隊) にはロッキー、アクション・セーラー (海軍) にはスキップ、アクション・パイロット (空軍) にはエースという名前が考案されていたようです。
 ロッキーという名称は、サージェント・ロックを意識したものだったのではないでしょうか。
 また、当時ハズブロは12インチのG.I.ジョーの広告をDC コミックの各誌に掲載していたようです。


 それから、ブロ友であるNORさんがご自身のブログ 「Type-NOR」 の中で、O-リング時代のG.I.ジョー:バトル・コーズのフィギュア 「アイスクリーム・ソルジャー (1994年)」 について記事を書かれているのですが (こちらの記事です)、その中でNORさんは、アイスクリーム・ソルジャーというネーミングの元ネタはサージェント・ロック率いるイージー・カンパニーの兵士の一人、アイスクリーム・ソルジャーであることを指摘しておられます。


 短命に終わったG.I.ジョーのトイライン 『サージャント・サヴェッジ&ヒズ・スクリーミング・イーグルス』 (1995年) では、第二次大戦期から現代に甦った主人公という設定や、「イージー・カンパニーのサージェント・ロック」 や 「サージェント・フューリー&ヒズ・ハウリング・コマンドーズ」 を意識したタイトルなど、戦争モノのコミックへのオマージュが込められており、フィギュアのバイオ (トレーディング・カードと表記) やミニ・コミックのイラストには、ジョー・キューバート御大を起用していました。


 上記の後継シリーズ 『G.I.ジョー:エクストリーム』 (1995年) には、ルテナント・ストーンという主人公が登場しましたが、この名前もロックのもじりではないでしょうか。
 キャラクターとしての共通点はありませんが、その後 『G.I.ジョー:シグマ6』 にもルテナント・ストーンというキャラクターが、また映画 『G.I.ジョー』 (ライズ・オブ・コブラ) にはサージェント・ストーンというキャラクターが登場しています。

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レムコ社のトイ


 サージェント・ロックは、1982年にレムコ社 Remco Toys から 3-3/4 インチ (3.75インチ) のフィギュアが発売されています。
 ラインナップはコミックとはほとんど関係がなく、イージー・カンパニーのキャラクターではありません。 装備類も第二次大戦ではなくベトナム戦争期から発売当時の時代のものです。
 これらはおそらく 3-3/4 インチ化されたばかりのハズブロの 「G.I.ジョー:ARAH」 に対抗した商品だったと思われます。

サージェント・ロック Sgt. Rock  マークスマン Marksman  レイダー Raider
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カウボーイ Cowboy  ジャイリーン Gyrene  レザーネック Leatherneck
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レンジャー Ranger  スノー・フォース Snow Force  タンカー Tanker
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エアマン Airman  シューツ Chutes  ドク Doc
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インストラクター Instructor  マック Mack  ミリタリー・ポリス Mil. Police
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アクション・マシンガン・ネスト Action Machine Gun Nest
エアボーン・パラシュート・インベーダー Airborne Parachute Invader

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アクション・プレイケース Action Playcase
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サージェント・ロック ビークルカズ&ウエポンズ
 ダイキャスト製小型ビークル。 ユニバーサル・トイズ社のものをレムコから販売していたようです。
 アルファベットによる略名というビークルの名称は完全に 「G.I.ジョー:ARAH」 の初期ビークルのパクリでしょう。
 イラストにあるA.T.C.アンフィビアス・アーマード・トループ・キャリア、A.T.A.アンチ-タンク・アンチ-エアクラフト・ウエポン、L.E.M.アタック・コマンド・ビークルのほか、戦車2種、救急車などがあったようです。
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スタント・プレーンwith ランチャー
 レムコの製品ではないようですが、レムコ製品と統一されたパッケージです。
 台紙の裏にはピストルのおもちゃ3種、無線機、ヘリコプター、バイクなどが記載されています。
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サージェント・ロックvs.ザ・バッド・ガイズ
 こちらはレムコ製品。 いわゆるアーミー・メンと呼ばれる小フィギュアとビークルのセット。
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 「ザ・バッド・ガイズ」 は3-3/4 インチ・フィギュアが発売されていたシリーズで、サージェント・ロックの敵組織に限定されない、悪役専門のトイラインです。 基本的にはサージェント・ロックなど他のシリーズのフィギュアのカラバリ。

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ドリームス&ビジョンズ版 G.I.ジョー・フィギュア


 2002年、なんとサージェント・ロックは、ハズブロと DC のライセンスを取得した ドリームス&ビジョンズ Dreams & Visions 社から、12インチG.I.ジョーのロゴを冠して発売されていたようです。

 発売されたのは、ロックはじめイージー・カンパニーのメンバーと、女性キャラクターのマドモワゼル・マリーでした。


左から
ブルドーザー  ワイルドマン  サージェント・ロック  ジャッキー・ジョンソン  リトル・シュア・ショット
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 別売りでアクセサリー・セットも何種類か発売されています。


マドモワゼル・マリー
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 デラックス・セットと単体でも発売。 別売りでアクセサリー・セットもありました。
 マドモワゼル・マリーは、ロックに協力し、ロマンスも生まれたフレンチ・レジスタンの女性です。
 本名はマリーとしか判っていませんが、彼女のほかにも “マドモワゼル・マリー” と呼ばれる女性闘士が様々な時代に存在したようです。
 DC の 「プレ-クライシス」 と呼ばれる世界観の中では、マリーはあのアルフレッド・ペニーワースとの間にジュリア・レマルクという娘を設けたらしいです。


 このドリームス&ビジョンズ版の12インチ G.I.ジョーでは、ほかにもエネミー・エースやブラックホーク、アンノウン・ソルジャーなど、DC 系の第二次大戦を扱ったコミックで活躍したヒーローたちがフィギュア化されました。
 これらドリームス&ビジョンズ版 G.I.ジョーについては、機会があればいずれまた記事にしたいと思います。

 なお、コミックの 『サージェント・ロック』 最終回では、イージー・カンパニーは第3歩兵師団の第15歩兵連隊に転属となり、オーディー・マーフィー少尉の下に置かれることになったらしいですが、オーディー・マーフィーは戦後は俳優として活躍した実在人物であり、12インチのG.I.ジョーにもなっています。

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近年の動向


 1980年代末頃にアーノルド・シュワルツェネッガー主演で映画化の話が持ち上がったものの、立ち消えとなった模様。

 アニメ 『ジャスティス・リーグ』 (2001年) や 『バットマン:ブレイブ&ボールド』 (2008年) のエピソードにサージェント・ロックがゲスト出演。

 2007年以降、ジョエル・シルバーのプロデュースで再び映画化の話題が浮上。 2010年、舞台は第二次世界大戦ではなく近未来となり、『G.I.ジョー』 (2009年) のような内容になるとの情報が流れましたが、その後の進展は不明。

 2009年、D.C.ダイレクトからサージェント・ロックのフィギュアが発売。

サージェント・ロック 13インチ・デラックス・コレクター・フィギュア (2009年)/D.C.ダイレクト
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 2012年、サージェント・ロックの新作コミックの話があったようですが、同年にアーティストのジョー・キューバートが亡くなられたため、 結局刊行されたのかどうかjoefig にはわかりませんでした。

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 以上、サージェント・ロックについてでした。
 いつもの如くあまり要領よくまとめられず、読みづらい記事になってしまいました。
 実はjoefig も大したことは知らずに書いているだけなので、コミックやトイのもっと詳しい事情を把握されている方からすれば、いまひとつ的を射ていない部分も多々あるかもしれませんがその点はご容赦を。

 さて、次回はアシコーの予定です。 それでは!
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by joefig | 2013-12-16 23:44 | 資料 | Trackback | Comments(2)
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Commented by NOR at 2013-12-24 23:38 x
サージェント・ロックについては日本ではなかなか纏まった紹介記事を目にする機会もないので、非常に興味深く読ませていただきました!

G.I.JOE(米兵)というのは第2次大戦後、アメリカ国民全てが共有できた(多民族国家としては貴重な位置です)最も身近なヒーローでしたし、Sgt.ロックがARAHの原型となり、その後もマーベル・DCという出版社の枠を超えて存在が共有され、「米兵コミックユニバース」みたいなものを形成するのも「ある」話ですよね。

スーパーマンやスパイダーマンらが作り出す「スーパーヒーロー」の歴史の陰で細々と続く、「リアルヒーロー」の歴史といいますか。
「ア・リアル・アメリカン・ヒーロー」の、「リアル」の原型といいますか、実在しうる人物たちの冒険物語なのですから、実在の人物を扱うように別の出版社の本に登場したっておかしくないわけですよ。
年代的にも「GIコンバット」を夢中で読んでたガキが長じて80年代のG.I.JOE ARAHを作っていく。という流れでしょうね。

しかしあのアイスクリーム・ソルジャーは「リアル」とはほど遠いと思います(笑)
Commented by joefig at 2013-12-25 23:27
>NORさん
アメコミにはまったく詳しくないのに記事を書いているので、作品の中身自体については何も書けませんでした。

第二次大戦時にはDC的にはSgt.ロックが戦い、マーベル的にはSgt.フューリーが戦っていたわけですが、NORさんの仰るとおり、読者の中では同じ戦争で活躍したヒーローたちという感覚でおおらかに共有されていたんでしょうね。そしまさに、ARAHとは、スーパーヒーローものとは趣を異にする「米兵コミックユニバース」というジャンルに対しての命名という思いが込められていたのかもしれませんね。12インチ時代のG.I.ジョーはDCのSgt.ロックの「戦友」であり、3.75インチのG.I.ジョーはマーベルのSgt.フューリーの「息子」世代という関係が透視できて面白いです。
そしてそこに例のアイスクリーム・ソルジャーをあてはめるなら……息子だと思っていたのに遺伝子を調べてみたら違う男の子供だった、というレベルでしょう。