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The Pit

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ハズブロ社の 「G.I. ジョー」 に関するランダムな記事のブログです。

資料/G.I.ジョーの起源

今回は、「G.I.ジョー」 という名称の起源と、ハズブロ社がアクション・フィギュアを発売する以前に存在したG.I.ジョーについて調べてみました。

 画像は1944~45年頃のブリキのおもちゃのG.I.ジョーたち。画像は海外サイトで拾いました。
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 調べるのに結構手間がかかった記事ですが、内容的には地味で、あまり皆さんの興味をそそるものではないかもしれません。
 まあ、一度調べてしまったからには、とりあえずこうして記事にしておこうかと思います。



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G.I.


「G.I.」 または 「GI」 は、第二次世界大戦 (1939~1945年) 中にアメリカ兵を指す俗称として広まった語です。
 G.I.がアメリカ兵の意味で用いられた最も古い記録は1935年のものだとか。

 第一次世界大戦までは、アメリカ兵を指す俗称としては 「ドウボーイ (ダウボーイ)」 という言葉があったそうです。 ドウボーイなどG.I.ジョー以前のアメリカ兵に対する俗称については別に記事を作成しましたので参照してください (こちらの記事です)。 


※この項の以下の記述は、「銀座新聞ニュース」 さんの記事 (http://www.ginzanews.com/report/1315/) から引用させていただきながらまとめてみました。「銀座新聞ニュース」 さん、無断引用ごめんなさい。

 おそらく1920年代頃から、アメリカ兵に支給された多くの金属製品には 「G.I.」 という刻印が施されるようになりました。これは 「ガルバナイズド・アイアン (Galvanized Iron)」、つまり亜鉛めっき鉄の略称です。

 1935年頃になると、G.I.は語源俗解で 「ジェネラル・イシュー (General Issue)」 や 「ガバメント・イシュー (Government Issue)」、すなわち 「支給品」、「官給品」 の意味と解釈されるようになりました。

 第二次世界大戦期に入り、第32代アメリカ大統領フランクリン・D・ルーズベルト (1882~1945年) は、ラジオを通じて流していた演説 「炉辺談話 (ろへんだんわ)」 で1940年12月29日に発表した宣言の中で 「アメリカは民主主義の兵器廠たるべし」 という表現を用いたことでも知られるように、航空母艦 (週に1隻のペースで完成させたこともあったそうです) から軍用カンヅメを開けるための折り畳みのカン切りまで、膨大な量の軍需物資を作り出しました。

 そして潤沢な官給品を伴ったアメリカ兵たちは、自分たちの俗称として G.I.という言葉を用いるようになったのです。

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ジョー


「Joe」 は古くから用いられてきた人名で、『旧約聖書』 にもある古代ヘブライ語の人名ヨセフ (「神は加える」) に基づく Joseph やその女性形である Josephina、Josefina、Josephine、同じく古代ヘブライ語の人名ヨシヤ (「主は支える」) に基づく Josiah などの略称です。

 この 「ジョー」(英語の発音はジョウ) という人名が、おそらく1920年代頃から、英語圏では 「奴」 とか 「男」 を指す言葉としても一般に使われるようになりました。


 なお、アメリカには、アメリカの擬人化として南北戦争以前に使われていた 「ブラザー・ジョナサン」 、南北戦争時代に南部アメリカ人や南軍を象徴した 「ジョニー・レブ」 というキャラクターがいました。
 これらはどちらもコネチカット植民地総督 (アメリカ合衆国成立後はコネチカット州知事) であったジョナサン・トランブルに由来するとも言われています。



 Jonathan は古代ヘブライ語のヨナタンに基づき、英語での愛称はNathan (ネイサン)。
 Johny, Jonny はJohn (ジョン) の愛称で元は古代ヘブライ語のヨハネから。

 したがってジョーとジョナサンの起源は違いますが、同じ 「J」 から始まる名前がアメリカの象徴として用いられていたというのは興味深いものがあります。

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デイヴ・ブレガーの 『GI ジョー』


 ロシア帝国時代にウクライナからアメリカに移住した両親の元で誕生したアメリカの漫画家デイヴ・ブレガー Dave Breger (本名アーヴィン・デイヴィッド・ブレガー) は、1941年に陸軍に入隊してルイジアナ州のキャンプ・リヴィングストンで軍用トラックの修理にあたる傍ら、同年8月30日から 『サタデー・イヴニング・ポスト』 紙で 『ブレガー二等兵』 "Private Breger" の連載を始めました。
夜中に軍のベーカリーの中で、あるいはトラックの中で防虫ネットを被りながら描いていたそうです。

 その才能に注目した軍は彼をニューヨークのスペシャル・サービス部門に転属させ、彼は1942年初期には軍が発刊を準備していた兵士向けの週間グラフ誌 『YANK (ヤンク)』 のスタッフとなりました。

 この際、連載予定の彼の漫画には 『サタデー・イヴニング・ポスト』 紙のものとは別のタイトルが必要ということになり、『YANK』 向けの 『ブレガー二等兵』 に対してブレガーは 『GI ジョー』 "GI Joe" というタイトルを考案しました。「GI」 と 「ジョー」 の意味については前述の通りです。
これが 「G.I.ジョー」 という名称の誕生にあたると思われます。

 デイヴ・ブレガーの 『GI ジョー』 の単行本。
ブルー・リボン・ブックス 『ジ・オリジナル“GI ジョー” (“ブレガー二等兵”)』 (1945年)
 画像は Free Republic com. のHPの記事 (http://www.freerepublic.com/focus/f-news/2169211/posts) から無断転載。Free Republic com. さんごめんなさい。
 画像の右下にある DUST JACKET の文字は上記サイトに掲載された際に後から加工されたものでしょう。
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『YANK(ヤンク)、アーミー・ウィークリー』 創刊号 (1942年6月17日)
『GI ジョー』 の連載が始まったの表紙です。
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『YANK』 誌はヨーロッパ大陸版 (Continental Edition) 、イギリス版 (British Edition)、日本占領下の東京版 (Tokyo Edition) など、17ヶ国で21エディションが1945年12月まで刊行されたそうです。

 毎号「YANK ガール」 として女性の写真が掲載されて人気を博し、その写真を兵士たちが兵舎の壁にピンで留めたことから 「ピンナップ・ガール」 という言葉も生まれました。
 1945年8月2日号に掲載のノーマ・ジーン・ベーカー (後のマリリン・モンロー) をはじめ、YANK ガールについての詳細 (日本語記事) は、koukinobaaba さんのブログ Hot'n Cool のこちらの記事(http://zenigeba.exblog.jp/4905956) がわかりやすいです。

 ブレガーに話を戻し、アメリカ国内の一般向けとしては、『ブレガー二等兵』 はキング・フィーチャーズ社から 『ブレガー二等兵海外へ』 "Private Breger Abroad" というタイトルで1942年10月19日~1945年10月13日まで掲載されました。

 また、ブレガーは、ナチスやヒットラーを風刺したものとして、『GI ジェリー』 "GI Jerry" という漫画も描いています。
「ジェリー」 は 「ジェリカンJerrycan」 (日本語ではジェリ缶とも表記) にみられるように、イギリス軍によるドイツ軍に対しての蔑称からきています。

 1945年、アメリカの映画会社ユナイテッド・アーティスツ社は、ピューリッツァー賞を受賞した従軍記者アーニー・パイルの著作をもとにした映画“The Story of G.I. Joe” (邦題 『G・I・ジョウ』 ) を公開しました。
この作品はブレガーの漫画 『GI ジョー』 とは直接の関係はありません。この頃までには、アメリカ兵を 「G.I.ジョー」 と呼ぶことがそれだけ定着していたということなのでしょう。
 ハズブロのアクション・フィギュアのG.I.ジョーのネーミングは、この映画“The Story of G.I. Joe” がヒントになったらしいです。

 第二次世界大戦が終結すると、ブレガー二等兵/GI ジョーはアメリカに帰国して一般市民となり、漫画のタイトルも 『ミスター・ブレガー』 に変更されて1945~1970年まで連載されていたようです。

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軍鳩 G.I.ジョー


 1943年、アメリカ陸軍鳩部隊United States Army Pigeon Serviceで活躍した軍鳩 (ぐんきゅう) にG.I.ジョーという名の伝書鳩がいました。
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 イギリス第56旅団がイタリアの村コルヴィ・ヴェッキアにいるドイツ軍を攻撃する際に、アメリカ航空支援軍団が爆撃で支援することになっていました。
 ところがドイツ軍の撤退が予想より早かったため、爆撃地点にいるのはイギリス軍という状況となり、しかも無線その他の連絡がとれなくなってしまいました。
 このとき、軍鳩のG.I.ジョーは 「村は占領したので爆撃は不要」 といった内容のイギリス軍のメッセージを20マイル離れたアメリカ航空支援軍団の基地まで20分で届け、およそ1,000名のイギリス兵の命を救いました。

 この功績により、1946年11月、G.I.ジョーはロンドン市長からディッキン・メダル (戦争で活躍した動物に送られるイギリスの勲章) を授与されています。

 昔は軍用の伝書鳩が有効と考えられた時代があったんですね。
 ハンナ・バーベラ・プロダクションが製作したTVアニメシリーズ "Dastardly and Muttley in their Flying Machines" (邦題 『スカイキッドブラック魔王』) (1969~1970年) には、ヤンキー・ドゥードル・ピジョン (日本名ポッピー) と呼ばれるアメリカの機密文書を持った軍鳩が登場していました。

 軍事目的で鳥類を使役するという意味では、ARAH のラプターを思い浮かべますね。
 現代の日本では、役にも立たないくせに沖縄やイランに勝手に飛んでいく鳩がいるので困ったものです。

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ブリキのG.I.ジョー


 1944~45年頃、ユニーク・アート・マニュファクチャリング社から 「G.I.ジョー」 の名を冠したブリキ製のおもちゃが発売されていました。

G.I.ジョーと K9 ワンちゃん G.I. Joe and his K-9 Pups
 ボックスには 「G.I.ジョー・コー (部隊) による限定ライセンス」 とデタラメなことが書いてあります。
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G.I.ジョーとガタガタジープ G.I. Joe and his Jouncing Jeep
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 造形的に見て、これらのおもちゃはブレガーの漫画 『GI ジョー』 とは関係ないでしょう。

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その他の 『G.I.ジョー』


 朝鮮戦争の時期の1950~53年の間に、ジフ-デイヴィス Ziff-Davis 社は 『G.I.ジョー』 というタイトルのコミック (全51号) を出版しています。
ジフ-デイヴィス 『G.I.ジョー』 "G.I.Joe" 第10号 (1950年)
※第10号となっていますが、実際にはこの号が第1号だったようです。
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 1952年、DCコミックの前身であるナショナル・ペリオディカル出版社からは 『G.I.コンバット』 というタイトルのコミックが刊行されました。冷戦時代の兵士たちの活躍を描くもので、DC 時代以降も1987年まで続いたようです。
ナショナル・ペリオディカル 『G.I.コンバット』 "G.I.Combat" (1952年10月)
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 1964~1965年、DC コミックの 『ショーケース』 というシリーズの第53号と54号は第二次世界大戦を舞台にしたコミックのアンソロジーとなっており、そのタイトルは 『GI ジョー』 でした。
DC コミック 『ショーケース』 "Showcase" 第53号 (1964年11・12月) ・第54号 (1965年1・2月)
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 今、G.I.ジョーというとマーベル・コミックを思い浮かべてしまいますが、同じタイトルのコミックがかつて DC から刊行されていたというのは興味深いものがあります。
 しかも、この頃はちょうどハズブロが12インチのG.I.ジョーの発売を開始した頃だったのですが、1964年~1967年にかけて、DC コミックは12インチのG.I.ジョーの広告をたびたび掲載していました。

 なお、『G.I.コンバット』 や 『ショーケース』 について少し調べているうちに、『サージェント・ロック』 というコミック及びキャラクターの名が浮上してきました。このサージェント・ロックについても、いずれ別の記事で触れてみたいと思います。

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 以上、ハズブロがアクション・フィギュアを発売する以前に存在したG.I.ジョーについて、とりとめもなく記事にしてみました。

 デュークたちが活躍してコブラと戦う 『G.I.ジョー:ARAH』 の系統とはまったく関係ない話題ばかりでしたが、joefigとしては、やはり 「G.I.ジョー」 という名称そのものについて一度記事にしておきたかったのです。

 さて、次回こそはフィギュアのレビューを…………それでは!
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by joefig | 2012-06-01 01:45 | 資料 | Trackback | Comments(8)
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Commented by ユウジ/マノフレ at 2012-06-01 02:02 x
なんとためになる歴史講座!
Commented by SithApprentice at 2012-06-01 14:35 x
いやぁぁぁ(∀`*)ゞ
今回の記事は相当内容が深いですねぇぇ!!!
すっかりと見入ってしまいましたが、GI・JOEの「GI」って何気になんの単語の略なのかって考えた事も無かったですwwww

勝手に「GI」=「軍人」的な思い込みをしていたら、亜鉛メッキの鉄が語源だったとは・・・(*´∀`*)

何かの俗称が一般用語と化し、気がつくと誰しもに知られるキャラクターの名称となり、今ではハリウッド映画も2作目突入ですものねぇ!!!
今度のバック2リベンジ!
ブルース・ウイリスが【ジョー】って名前で出演なんですってねぇぇ!「伝説の初代ジョー」って・・・笑

【奴】や【男】を示す呼称だった【ジョー】もついに実在化してしまいましたねぇぇ!!!

もぉなんだかめちゃくちゃだぁぁぁぁwwwwww

フフフフフフフフフ
Commented by マス☆ドリ at 2012-06-01 21:26 x
お邪魔しマスクメロン!
マス☆ドリです。

G.I.ジョーのG.I.が亜鉛メッキ鉄から支給品など紆余曲折してるとはっ!

てっきり、
『俺達ゃ アメリカ兵は カッチンこっちんのビッグ マラーだぜぇ~ぃ!』
的なコトの英語の略かと勝手に思ってました(; ̄O ̄)

GIがアメリカ兵を指す俗称となったのは対戦相手の兵が言い出したんですかね?

確かにjoefigさんほどG.I.ジョーが詳しければ、『G.I.ジョー』の言葉そのものにも興味が湧くのは至極当然ですよねぇ。
しかし、検索ベタな私からすると、ココまで深いところまで掘り下げれるのが、素直にスゴイです!(◎_◎)

今回も勉強になりました!有難う御座います\(^o^)/

ではでは
Commented by joefig at 2012-06-02 10:18
>ユウジ/マノフレさん
まあ、どうでもいいっちゃどうでもいいトリビアなんですけど。

ブログ始められたんですね! 今後の記事を楽しみにしております!
Commented by joefig at 2012-06-02 10:34
>見習いシスさん
一般的には「G.I.」というと「アメリカ兵」の意味でいいと思います。
「G.I.ジョー」は、フィギュアが登場するまでは「G.I.野郎」とか、以前マス☆ドリさんのコメントにあったような「G.I.太郎」みたいなニュアンスで使われていたんでしょうね~。
現代のアメリカ兵のことはG.I.とは呼ばないんじゃないかと思いますから、今となってはG.I.ジョーというおもちゃの中でしかほとんど使われていない言葉になってしまったのではないかと思います。
Commented by joefig at 2012-06-02 11:32
>マス☆ドリさん
いらっシャーベット!

G.I.はアメリカ兵による自称で、それが他称としても(敵国からも)使われるようになったんじゃないかと。

「カッチンこっちんのビッグ マラー」 ……もしもマス☆ドリさんがG.I.ジョーに入隊したときはそのコードネームで決まりですね。ホーク将軍に推薦状を書いておきます。ふっふっふ。
Commented by NOR at 2012-06-15 23:56 x
ブリキのGIジョーはなかなかカワユイですね。
元祖GIジョーもやはりコミックが起源だったというのも面白い発見でした!
屈強な胸毛キン肉が米兵のパブリックイメージだと思ってたのに、ブレガー版はまるで"のび太"なのも衝撃!
こんなツラではどうしてもドイツの暴れん坊ジャイアニッヒやロスケの金持ちスネオスキーにいじめられ、アンクルサムの4次元ポケットに頼りっきりな姿しか思い浮かびません(笑)
Commented by joefig at 2012-06-16 17:47
>NORさん
ブレガー版は本当にのび太みたいですね! でも、記事中で紹介した表紙だけを見る限りでは、戦闘服とか銃などのディテールがきちんと書き込まれていることに感心してしまいました。当時の日本の漫画と比べたらずっと洗練されたタッチだと思います。

アンクルサムの4次元ポケット……「はい、エノラ・ゲイ!」 とか洒落にならないものが出てきそうですね~。現代なら 「はい、無人爆撃機!」 でしょうか。