マーベル/『G.I.ジョー:ARAH!』 第30号 「ダークネス」
復刻版とはいえ、当時のコミックを実際に手にしてきちんと読むのは今回が初めてだったので、ちょっと感無量です。
マーベル・コミックス "G.I.Joe: A Real american Hero ! " #30 Darkness (1984年12月)です。
こちらはオリジナルの表紙です。
──ドレッドノックはドラゴンフライがマグワイア空軍基地に着陸するところを目撃する。マグワイア空軍基地がG.I.ジョー・チームの本部であると睨んだコブラは、サーカスの車両に偽装して攻撃に向かうが、先走ったドレッドノックが破壊活動を始めてしまう──。
こちらが今回入手した、コミック2パック用にリメイクされた表紙です。
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登場人物
G.I.ジョー・チーム
ホーク大佐 ワイルド・ビル ドク クラッチ ショート・フューズ ロックンロール グラント
スカーレット スネーク-アイズ スティーラー ザップ エース
アメリカ軍
エディー(マグワイア空軍基地のAP) ほかマグワイア空軍基地の兵士多数
コブラ
ザルタン ブザー リッパー トーチ コブラ・コマンダー フレッド・ブローカ(スミス/フレッド1号)
フレッド・ブローカの妻 メジャー・ブラッド バロネス コブラ・トルーパー
コブラH.I.S.S.ドライバー(ただしコブラF.A.N.G.のパイロットとして)
デストロ ファイアーフライ
その他
ビリー(ウィリアム・ケスラー) フレッド・ブローカの息子(ショーン・ブローカ) 娘(ヘザー・ブローカ)
不動産屋 アーブコ・ムービング&ストレージの運送業者
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登場ビークル&装備
G.I.ジョー・チーム
ドラゴンフライXH-1 スカイストライカーXP-14F V.A.M.P. R.A.M. M.O.B.A.T. ウルヴァリン
A.P.C.
アメリカ軍
救急車 マグワイア空軍基地の航空機
コブラ
ドレッドノックのチョッパー コブラのオーナメントのあるセダン アーブコ・ムービング&ストレージのトラック
各種監視装置 アーブコ・ブラザーズ・サーカスのトラック
コブラH.I.S.S. コブラF.A.N.G.
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詳細
「ダークネス」
※サブタイトルのDarkness は、ドレッドノックの連中が「暗闇」に乗じて空軍基地に侵入することと、彼らが無計画に攻撃を開始してしまったり、本当のG.I.ジョーの本部にまであと一歩というところまで迫っておきながら安易に撤収命令を出してしまうコブラが「暗愚」であることを意味していると思われます。
ニュージャージー州にあるマグワイア空軍基地。ちょうどVAMP がフォートワズワースを離れた頃……。
マグワイア空軍基地を監視していたドレッドノックは、G.I.ジョー・チームのドラゴンフライが着陸するのを目撃する。
※G.I.ジョーの本部であるピットは、ニューヨークのスタテンアイランドの陸軍基地フォートワズワースの地下にあるのですが、スカイストライカーやドラゴンフライなどの航空機の運用にあたっては、隣のニュージャージー州にあるマグワイア空軍基地を利用していたようです。
ザルタン 「始めるぞ、ドレッドノックス! こいつが済んだら好きなだけ休めるぞ……」
トーチ 「う~ん……あのヘリはどうも前に見たやつと似てやがらねえか?」
ブザー 「おれもそう思うぜ! このおれに向かって撃ってきたやつのことは何ひとつ忘れやしねえ。あれはフロリダでおれたちのヤサを襲ってきたヘリのひとつだ」
リッパー 「よう、ブザーよ、違っていたら消毒液につかってもいいぜ! あのケツに続いている弾の跡を見ろよ?」
ザルタン 「黙れ、リッパー……名札がなければお前は自分のお袋のことも見分けられんだろうが」
ドラゴンフライがフロリダで彼らを攻撃したものであったかどうかを直接確認するため、ザルタンはホークの姿に身を変える。
トーチ 「ああ? ザルタンはこんな警戒厳重な軍の施設の中へ入ろうってのか?」
AP 「おい、エディー! あの光ってゆらめいている男は何なんだ?」
エディー 「太陽の光じゃないのか……」
「……クラスAの勲章を下げた大佐だぞ!」
ホーク(ザルタン) 「休め」
※ザルタンは、ここでは肌の色を変えるのではなくホログラムを使って変装しているようです。
この号の別の箇所では、ニュージャージーのマーシュランドにあるガソリンスタンドにホログラムを投影して、フロリダのエバーグレーズにある彼らの隠れ家の外観のように変えてしまうという描写があります。
ホークに変装したザルタンは、負傷して運ばれてきたワイルド・ビルやドクに接触する。
ホーク(ザルタン) 「え~……よくやった……あ~、兵士よ」
ドク 「兵士だって? 彼は君の名前を知らないみたいだぞ、ワイルド・ビル……」
ワイルド・ビル 「彼は何かと頭が一杯なんだろうよ……」
スタテンアイランドでは、クリムゾン・ガードの「スミス」ことフレッド・ブローカが、G.I.ジョー本部との疑いがあるフォートワズワースを監視するために、家族と共に引っ越してくる。
その頃、スタテンアイランド……
不動産屋 「ブローカさん、後悔はさせませんよ。あなたはご自分とご家族のために環境の良い素晴らしい家をお買いになったんです」
フレッドの妻 「ああ、フレッド! 素敵だわ! スプリングフィールドの分譲住宅なんかよりもずっといいじゃない!」
不動産屋 「フレッドさん、引越しにはご指定の業者を?」
※コブラのマークのオーナメント……。こんな車でピットの側に引っ越してくるというのはちょっと馬鹿げていますね。
なお、フレッドの妻、息子ショーン、娘ヘザーは前号で初登場していますが、ショーンは後に重要なキャラクターとなっていきます。
マーベル版ARAHシリーズの記念すべき最終号となる第155号「スネーク・アイズからの手紙」は、スネーク・アイズがショーン宛てに書いた手紙という内容でした。
そしてDDP 時代のコミックでは、成長してスネーク・アイズの弟子カマクラとなります。
ニュージャージーのマーシュランドにいるザルタンたちは、スプリングフィールドのコブラ・コマンダーに報告を入れ、コマンダーもマグワイア基地がG.I.ジョーの本部であることを確信する。
再びスタテンアイランド……
業者 「ふう! あなた方は実に多くの繊細な電子機器をお持ちですね!」
フレッド 「私は未来を見てきたんだ……これらはマイクロチップで出来ているのさ!」
業者 「はあ?」
フレッド 「いや、なんでもない!」
※この運送会社やこの後に登場するサーカス団のArbco という社名はCobra のアナグラムで、コブラが運営するダミー会社なのですが、この業者の口ぶりからすると、彼ら一般従業員は何も知らずに働いているようですね。
アナグラムといえば、フレッドの姓のBroca というのも、実在する姓ではありますが、Cobra のアナグラムになっています。
フレッド 「ふっふ! これらの箱の中身が何かを知ったら、あの業者たちは卒倒しただろうな!」
フレッドの妻 「このアサルトライフルには驚くでしょうね……だけど電子監視装置のほうは、これを見て何かわかる人はまずいないわよ!」
フレッド 「こいつを見てみろ! パッシブ暗視装置、パラボラ・マイク、赤外線探知機、反射スコープ、地上波オシログラフ、それにAN/PPS 5 非干渉パルス・ドップラー・レーダー・ユニットだ!」
フレッドの妻 「これらを全部設置するには何時間もかかるわね!」
ドクと負傷したワイルド・ビルたちがピットに到着する。するとそこに、マグワイアで別れたばかりのホークの姿があった。
ショート-フューズ 「ドクが頑張ってさえくれれば、きっとオープニング・セレモニー(※)に間に合うように治してくれるさ」
※『G.I.ジョー』第33号に登場! 見逃すな!
ホーク 「オープニング・セレモニーは隊列を組む中で行われる。私の部隊は誰も隊列から外さんぞ!」
ドク 「ホーク! 一体どうやって……」
ワイルド・ビル 「おれは頭がおかしくなっちまったようだ。あなたはマグワイア飛行場にいた! それから20分と経っていない!」
彼らは自分たちが何者かに騙されていたことに気付く。
コブラ・コマンダーに率いられたコブラ軍は「アーブコ・ブラザーズ・サーカス」のトラックに偽装してマグワイア空軍基地に向かう。
一方、スプリングフィールドでは、ビリーがコブラの情報を調べていた。
※第10号で初登場したビリーは、コブラの本拠地スプリングフィールドでコブラに反抗する組織に属している利発な少年で、Dr. ヴェノムに捕らえられていたところをG.I.ジョー・チームに救出されました。
第33号で、実は彼はコブラ・コマンダーの息子であることが判明します。その後もストーム・シャドウの弟子になるなどの活躍が描かれる、フィギュア化が期待される大物キャラの一人です。
スプリングフィールド、アーブコ・ブラザーズ・サーカスの事務所の中……
ビリー 「これは奴らがHISSタンクを各地に運ぶ手段に関するものだ! 内部セキュリティーのコンピューター・アクセス・コードだけでも手に入れることができれば……」
バロネス 「……何をしているの、ビリー? 私たちの大切なコブラ・コマンダーに害を及ぼそうとしているのかしら? あなたはそれほど彼が嫌いなのよね?」
メジャー・ブラッド 「この小僧を知っているのか、バロネス?」
バロネス 「その通りよ、親愛なるメジャー・ブラッド。ビリーは素行に問題があってね。彼はコブラが自分の父親にしたことを怒っているのよ。それと、Dr. ヴェノムの牢屋(※)でのもてなしについてもね!」
※『G.I.ジョー』第10号
バロネス 「彼のコブラに対する怒りは私たちの行動に加わるには充分だわ!」
※この後バロネスとメジャー・ブラッドは、コブラ・コマンダーに対する反乱にビリーを利用することになります。
ザルタンはコマンダーからマグワイア基地のフェンスを破っておくよう指示され、ドレッドノックの3人がバイクで出発する。
その頃、スタテンアイランドではフレッド・ブローカが監視用機材の設置を済ませていた。
スタテンアイランドでは……
フレッド 「全てセットした。監視の準備はできたぞ」
「もしもフォートワズワースでG.I.ジョーの何らかの活動があれば、決しておれたちの目を逃れることはできないぞ!」
ジリリリリン!
フレッド 「はい、フレッド・ブローカです……何だって? いつ? なぜだ? スプリングフィールドに戻れだと? またあの馬鹿げたアイスクリーム・トラックの運転に戻れって言うのか!?」
フレッドの妻 「フレッド、どうしたの?」
フレッド 「コブラ・コマンダーがG.I.ジョーの本部を見つけたんだとよ! 全てのシージー(※)は召還されることになった!」
※C.G.=クリムゾン・ガード
フレッド 「あ゛~~っ!」
「この装置をセットするのに10時間もかかったんだぞ……」
そんなに怒らなくたっていいと思いますが。それにいくら撤収するとはいえ、高価そうな設備を壊したら叱られるのでは? 一緒になってぶち壊している奥さんもかなり短気ですね。やはりコブラに加わるような人は性格に問題があるんでしょうか。
まさにこの瞬間、フォートワズワースからG.I.ジョー・チームのコンボイが出撃し、フレッドの家の目の前を通り過ぎていった。
撤収命令に激怒していたフレッドはみすみすこれを見逃すこととなる。
ドレッドノックの3人はマグワイア空軍基地に到着してフェンスを破るが、コブラ本隊の到着をただ待っていることができずにバイクで中に侵入してしまう。
駐機している戦闘機を破壊しはじめるドレッドノック。それぞれ手にした道具で思い思いにドラゴンフライやV.A.M.P.、スカイストライカーを壊して回lり、スカイストライカーは爆発してしまう。
コブラ・コマンダーの軍団がマグワイア空軍基地に到着するが、すでにドレッドノックが暴れ回っている光景に愕然とする。
コブラ・トルーパー 「飛行場のあちこちで爆発が起きてます! 奴らはもう警報を鳴らされています!」
コブラ・コマンダー 「隠密作戦による侵入は台無しだ、だがいいだろう!!」
「体勢を整えろ! 困難なやり方でやってやろうではないか!」
コブラ・コマンダー 「突撃! まずは管制塔からだ!」
そこへG.I.ジョー・チームが到着する。ひるんだドレッドノックはバイクで逃走してしまった。
コブラ軍は2台のH.I.S.S.と2機のF.A.N.G.で基地内を攻撃する。
しかし、管制塔を狙うF.A.N.G.をV.A.M.P.が撃墜。そしてM.O.B.A.T. がコマンダーの乗ったH.I.S.S. を吹き飛ばした。
コマンダーはその爆炎に紛れてもう1機のF.A.N.G. に自分を拾わせ、脱出する。
翌朝……
スカイストライカーの残骸の前にたたずむホークとエース。
ホーク 「心配するな、エース。アンクル・サム(※=U.S.、アメリカ政府のこと)が別のスカイストライカーを買ってくれるさ……」
エース 「使い慣れた機体だった……」
ニューヨークに向かう漁船。その内部では、デストロとファイアーフライがコブラ・コマンダーへの報復を計画していた。
終わり
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なお、今回入手した復刻版コミックの裏表紙には、ロードブロックが登場するPSA(公共広告)風の25th フィギュアの宣伝がありました。このマンガとPSA についてはNORさんの記事が詳しいです(こちらの記事です)。
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トイ
この号をフィーチャーした25thのコミック2パック#30 (2008年)のフィギュアは以下の通りです。
リッパーv6 トーチv3
ただし、その後にリリースされたシングルパックのリッパーv7(2008年)とトーチv4(2009年)のほうがコミックに登場した際のカラーリングになっています。